第23話 トラブルメーカー第23話 トラブルメーカー教室に入ったシンジは、違和感を感じた。 いつも、レイと共に登校してくるシンジに向けられるやっかみ半分の視線ではなく、明らかな敵意を感じたからであった。 その視線を辿ってみると・・・、これまでに見たことのないジャージ姿の少年が立っていた。 新世紀エヴァンゲリオン(ビデオ)Genesis 0:9 「綾波。あの人、誰?」 「知らない。」 レイはクラスメートに興味がないのか、あまり名前を覚えていないようだった。 そばにいるのは、確か委員長の洞木さんだったな。 あとで、ちょっと聞いてみようっと。 と、シンジが考えていると、ジャージ姿の少年、トウジが睨みながら近づいてきて言い放った。 「転校生!ちょっとツラ貸してもらおか!!」 「イヤだよ。」 本当に嫌そうな顔をして、即答するシンジ。 小さな頃から、大人しく優しげな風貌のシンジは、いじめっ子達の格好の標的にされていた。 そのためか、この歳になっても、こういうタイプの相手をするのはイヤで堪らないシンジであった。 「ちょお、来いっつっとんじゃ!」 「イヤだよ。」 「ワレ、舐めとんのか!」 会話にさえならないのでシンジは無視して席に着こうとした。 「無視するんやない!!来い言うとるやろ!!」 「僕に何の用?」 「ここじゃ言えん話や、ええから付いてこい!」 「人前で言えないような話を聞く気はないよ。」 「なんやと!人が下手に出とったら、つけあがりおって!!ほんなら、ここで話したるわ!お前はあのロボットのパイロットやろうが!!」 「そうだけど、それがどうしたの?」 「碇君、守秘義務。」 簡単に極秘事項をばらしてしまったシンジに注意するレイ。 「あ!しまった!言っちゃいけないんだっけ?」 「なにそこで、ごちゃごちゃ言うとるんや!ええか!よう聞けよ!!ワシの妹は、この間の戦闘で、瓦礫の下敷きになって怪我したんや!!」 「この間の戦闘で?」 あの時見つけた少女以外にも、どこかに怪我人が取り残されていたのだろうか? シンジ自身には責任のないことであるが、自分が助けられたかも知れない者がまだいたのかと思うとやりきれない自責の念を感じるのであった。 続く |